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なんだかわからないが、とにかく怖いし良くないことが起こりそうな気がして、碧馬は後ずさった。
「あんたら、なんだよ? ここは日本じゃないんだよな?」
話が通じるかわからないが、思いついたことを話しながらそっと後退する。
熊はのしのしと遠慮なく碧馬に近づきひょいと手を伸ばして碧馬を捕えた。殺されるんだ、とぎゅっと目を閉じたが、痛みは襲ってこない。
おそるおそる顔を上げると、そのまま荷物のように担がれて森の中へと連れて行こうとする。
「やめろよ、離せって」
元いた場所から離れたくなくて碧馬は暴れた。
帰り道がわからなくなる気がして、ここから移動したくなかったのだ。
拳にした手で思わず熊の背中を殴りつけると、熊が足を止めた。
はっとして手を止める。
どうしよう、殴っちゃったよ。
今度こそ殺されるのか?
青ざめていると乱暴に地面に下ろされた。足首の痛みに耐えきれずその場に崩れ落ちる。
そして驚くことが起きた。
目の前の熊の姿がゆらりと揺れたかと思うと、一瞬後には大柄な体格の男が立っていた。
「※※※※※」
碧馬はもうパニック寸前だった。
熊が話したかと思うと人に姿を変えたのだ。
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