7,最後の日のこと。

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7,最後の日のこと。

もう十分だった。幸せすぎた。 早く、早く彼女のところに。 苦しい胸を手で押しつぶして、走って待ち合わせ場所まで行った。 「遅いよー!どうしたのー!」 本当にごめん!と思いっきり手を合わせた。 そして花を渡した。 「分かってますねぇ~、許しちゃいますよ。そんな事されたらー!」 彼女の口から出る声も言葉さえも愛おしくて、その時だけは、ポエマーになれそうだった。 これが最後のデートかななんて考えながらも症状を忘れる程に楽しかった。 でも、最後はすぐにやってきた。 せめてデートは最後までやりきりたかったなー。 最愛の彼女の前で、最後を遂げた。 今思えば、これ以上に幸せな死に方はあるだろうか。 半分もない意識の中、思う事は両親への感謝と、彼女に俺を忘れて幸せになってほしいという願いだけだった。 辛いだろうな、どのくらい愛してくれてたかな。 幸せだったな。彼女も幸せでいてくれたかな。 悔しいな。 最後まで俺だけが一番愛してる人でいたかったなー。 何か彼女に残せたかな。日記は読んでくれたかな。 考えつくことは全て彼女の事で。最後には死ぬのが怖くなかった。彼女の笑顔を最後に死ねたなら、もう他に何もいらなかった。     
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