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「ニャー(気づいてほしい)」
俺なんだって、気づいてほしかった。
でもこんな声で、こんな体で、最後まで届くことはない。
「猫のくせに...支えられてたのはずっと私の方。今までありがとう。」
もうほとんど開かない目をさらに細めて笑う彼女が愛おしかった。
「まだまだ一緒に暮らしたかったなー。色々お話したかったなー。」
俺だってそうだ。それが酷く悲しく、辛く、悔しい。
でも彼女があまりにも穏やかな顔をするから、振り返るのも悪くないなんて思った。
「ニャ(好きだよ)」
まだ返事を返してくれるだろうか、もうすっかりぐったりしてる彼女を見ても、
幸せなら良かった、また巡り会えないだろうかと、
そんな幸せな想いしか頭に浮かばなかった。
もうすっかり目を瞑ってしまった。
最期を看取るのが俺でよかった。悲しいけど、少しだけ嬉しかった。
また、どこかで逢える気がしたから。
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