8, 猫と主人の事。

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「ニャー(気づいてほしい)」 俺なんだって、気づいてほしかった。 でもこんな声で、こんな体で、最後まで届くことはない。 「猫のくせに...支えられてたのはずっと私の方。今までありがとう。」 もうほとんど開かない目をさらに細めて笑う彼女が愛おしかった。 「まだまだ一緒に暮らしたかったなー。色々お話したかったなー。」 俺だってそうだ。それが酷く悲しく、辛く、悔しい。 でも彼女があまりにも穏やかな顔をするから、振り返るのも悪くないなんて思った。 「ニャ(好きだよ)」 まだ返事を返してくれるだろうか、もうすっかりぐったりしてる彼女を見ても、 幸せなら良かった、また巡り会えないだろうかと、 そんな幸せな想いしか頭に浮かばなかった。 もうすっかり目を瞑ってしまった。 最期を看取るのが俺でよかった。悲しいけど、少しだけ嬉しかった。 また、どこかで逢える気がしたから。     
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