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支えたくても、助けたくても、もちろん私にはどうすることもできなくて、不安だった。
だけど、本人が一番楽しそうに過ごすから、彼が笑うたびに、心が軽くなった。
彼は3ヶ月後、私の目の前で息を引き取った。
珍しく彼が誘ってくれたデートをしていたときだった。
何かを察していたのかもしれないなんて思って、なにも気づけなかった私に苛立ちを覚えた。
なにが通じあってる、だ。なにも分かり合えてなかった。彼の顔があまりにも安らかで、寝てるだけなんじゃないかと何度も思った。
彼の日記は、ほとんど私へのラブレターで、本当に愛してるだとか、初キスだなんだとか、何が可愛かったとか。
最後のページは涙で滲んでいたけれど、最期に君と居られたなら、それだけで幸せだと、最後まで幸せにしてあげられなくてごめんと、そう書いてあった。
彼がいなくなって、ぽっかり心に穴が空いたようだった。愛してくれる人はもう誰もいないと考えては、一人で涙を流し、孤独を感じた。
そんな悪循環を繰り返していた夕方の公園でこの猫と出会ったのだ。
でも、私の白血球とやらのせいで、長くは生きられないようだ。この猫ともお別れになる。唯一、最後まで私を愛してくれた。それだけで嬉しかった。
あと何日生きられるだろうか。この猫も、私も。
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