エピソード4『悲しみに暮れるユニ』

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エピソード4『悲しみに暮れるユニ』

 シンを見送った後も、 5人の女子達は屋上に溜まっていた。  話題の中心は勿論、シンについてである。 「みんなはカッシンのどこが好きなの?  リンちゃんはねぇ、優しいとこ!  昨日なんか倒れたおばあさんを迷わず助けてたのよ!  リンちゃんねるもちゃんと見てくれたし!」 「シンはワタクシの魅力がお分かりになるの。  将来有望なワタクシの伴侶として最適ですわ。 ところでリンさん、その『カッシン』というのはシンの事ですわよね?」 「ボクは……優しいのはそうだけど、  一杯褒めてくれそうな所かな」 「ワタシもカルタに近い。  彼が励ましてくれれば、 病弱なワタシでも生きていけそうな気がするんだ。  ルアはどうだ?」  目線を落としスマホを覗き込んでいたルアは、 話題を振られて顔を上げた。 「ん?ワケとか要る? 『好きになった』で良くね?」 「まあ、別に構わないんだが……」 「現金なルアさんの事ですから、 何らかの旨味を見出してはいるのでしょうけど」 「イオちゃん、余計な詮索は慎むべきだよ」  ルアは「そーそー」と口では言いつつ、 (あぶねぇー、イオって妙に『鼻が効く』んだよなあ。  実際シンってかなり金持ちっぽい。  あの靴も高級品だし。  玉の輿玉の輿……)と、 イオの指摘する『旨味』を心に描いていた。 「そうだ。  やっておかなければならない事があるな」
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