プロローグ『ドクター仮面現る』

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プロローグ『ドクター仮面現る』

 ある日ある場所、真夜中の事。  そこは、暗くても良く目立つ青と白のコンビニ。  自動ドアが開き、 店内から1人の女子が出て来た。  年は女子高生くらいだろうか。  髪は黒く豊かなツインテール。  白地に黄色い水玉模様のパジャマ姿で、 体のラインを見るに少々太っているらしい。  右手にはスマホを持ち、 左手には膨らんだレジ袋をぶら下げている。 「ありがとうございましたー」  店員のテンプレートを背に、 パジャマ女子は歩道を歩き始めた。 「次の元号?何だろ……」  パジャマ女子がスマホをいじり始めた時、 遠方から光と轟音が近付いて来た。  何かが破裂するような連続した音だ。 「うるさっ」  轟音がピークに達した時、 パジャマ女子は目を細め顔を歪める。  轟音の正体は2人乗りのバイク。  特に何事も無くパジャマ女子を通過した。 騒音が遠ざかって行く。 「はあ……」  パジャマ女子はため息をつきながら、 スマホもろとも右手をレジ袋に突っ込み、  中から紙パックのジュースのみを取り出した。  丁度片手に収まるサイズの紙パックには、 楕円形で茶色い、アーモンドの絵が描かれている。
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