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雲一つ無い青空が、どこまでもどこまでも広がっている。
四方を見渡せば、島影一つ見えぬ大海原。
そう。どちらを向いても青しか無い。
おそらく己の顔だって、他人から見れば真っ青というやつになっているのだろうと思う。
だが、その他人がいない。
舟の上には、幸蔵一人しか居なかった。
嵐に遭ったのだ。
「ちくしょう、仙造の奴……この時期はまだ嵐も来ないし大丈夫だと言ったじゃねえか!」
所詮、外海に出る水夫や漁師では無い。吉原通いの客を乗せ、大川を上り下りするだけの船頭だ。信じた俺が馬鹿だった。
だが、文句を言うべきその仙造も、舟にはいない。
「なんてぇこった……」
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