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3
眠る蒼の顔を見つめる。
時折苦しそうないびきをかきながらも、幸せそうな顔で眠っている。
「……眠るとは、どんな感覚なのだろうな」
吸血鬼である紅は、眠るという感覚を知らない。
力が足りなくなれば横になって回復を行うが、眠るというものは介在しないのだ。
蒼の日に焼けない頬を優しく指で撫でる。
人間特有の、温もりを指に感じる。
冷えた指先に触れられて気になったのか、蒼は、眠りながらも頬を撫でる紅の手の方に手を伸ばす。
「ひんやりしてる……」
両手で紅の手を優しく握り、再び眠りに落ちる蒼。
紅は眠る横顔を優しいまなざしで見つめていた。
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