僕の嫌いな夏休み

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夏は嫌いだ。 まず何で学校が休みなのに宿題がこんなに多いのだろう? 毎日の一行日記に自由研究、5教科のワーク、図画工作の作品、読書感想文。おまけに低学年のころは絵日記まであった。一行日記なんてうっかり書き忘れてしまった日にはその日の天気なんか覚えていないし、そもそもなんで毎日日記を書く必要があるのかが僕には分からない。学校に行ってる日には書いたことなんか一度もないのに。 そしてこの暑さ。夏休みだから遊ぼう! なぁんて外に出る気にもならない。出たところで誰かの家に行って、エアコンの効いた部屋でゲームをするくらいしかできないのだ。 だったらできるだけ早く宿題を終わらせて好きなように遊びたい、と僕はいま机にワークを開いているのだけど。 「え、宿題やってんの!?夏休み始まったばっかりだよ?」 頭の上から降ってくる声のせいで全然集中できなくて僕はそっと鉛筆を置いた。目の前のコイツに振り回されるのも夏のせいだ、絶対そうだ。  そう、さっきから僕のことを邪魔してくるコイツ。というのはさすがに失礼かもしれないから彼女、としよう。黒くて真っ直ぐな髪を頭の高い位置で一つに結んでいて、目がぱっちりと大きくて、ついでに声も大きい……ってかよく通る。それこそ玄関から一番遠い僕の部屋まで余裕で届くくらいに。そんな彼女の名前は「雪」という。
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