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「いや、化学実験から恋とか、私にはサッパリ分かんないけど」 そう言うハナちゃんは、バリバリの体育会系で、頭の中は文系な女の子。何をするにもワンテンポ遅くなるようなどんくさい私と違って、1年生ながら生徒会でも活躍するぐらいのしっかり者だ。新学期最初に座った席がもしも隣じゃなかったら、全てが正反対すぎて、多分、今も友達にはなっていなかっただろう。 「だってさぁ、先輩は優しいんだよ。すっごくいい人なの。いつも穏やかに微笑んでくれてて、私がどれだけドジっても笑顔で許してくれて『次から気を付ければいいよ、たまが頑張ってきたことは無駄になってないから』って言ってくれるの。むやみやたらと壁ドンして、大きな声を上げればカッコいいと勘違いしてるそんじょそこらの男どもとは大違い」 「そう?私は壁ドンの方がいいけどなぁ」 ハナちゃんも窓の外へ目を向けた。そして私の視線の先を追いかける。 「―――あのさ、もしかして、おたまの言う先輩ってのは、たった今、ゴールを外した、背の高いひょろっとした人?」 「うん、そう」 「……ええっと、悪いんだけどさ」 「ん?」 「あの人が好きなのって、うちの先輩だよ」 「え……」     
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