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お父さんが就職を決めた。
アルバイト同然の契約社員で、物流倉庫で荷物の管理をするらしい。随分前に取ったフォークリフトの免許が、初めて役に立つと言っていた。給料は前職の2分の1。楽な仕事ではないが、以前より自分の時間が取れる。何よりお母さんの表情が明るくなった。
お父さんはガーデニングに目覚めた。求人誌のスクラップをしながら、草花の雑誌を読んでいたらしい。殺伐としていた我が家の前庭は、父親の趣味の庭へと早変わりした。
私は私立の4年生大学に合格した。学費だけでなく、一人暮らしの生活費もかかる。入学をしたら奨学金を借りて、アルバイトも始める。高校最後の春休みは、新生活の準備で忙しい。
「お父さん、こんな時間からホームセンターに行くの? もうすぐ夕飯だよ」
「店長から電話があってね、欲しかった花の苗が入荷したらしいんだよ」
ばたばたと廊下を駆け回り、慌てて靴を履く。そんなに急がなくとも、相手は逃げないだろうに。私はため息を吐いた。
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