11月

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「あ、もしかして、開かなかったですか?」 「え、いや」 「すみません、気がつかなくて。僕が開けます」 と、私の手元にあったポッキーの袋は一旦彼に拐われていった。 数秒後、口が空いた状態で帰ってくる。 こうして開けられたふたつの袋に私の疑問は膨らむばかりで。 普通に食べることにしたのだろうか。そうしてくれるのがいちばん助かる。 この状態なら間違いない。きっと彼はポッキーゲームをやることを諦めたのだ。 こんな職場の休憩室で、私なんかとポッキーゲームをすることの意味の無さにこの短時間で気づいたに違いない。 「あ、ではすみません、いただきます」 ほっと胸を撫で下ろし、彼が開けてくれた袋の中からポッキーを1本取り出す。 「あ、食べちゃダメですよ」 「え、」 「ポッキーゲーム、やるって言いましたよね、僕」 「え、でも」 けれど、ポッキーを食べようとすればパッと向かいから伸びてきた手にそれは阻止され、ぎゅっと手首を掴まれ突然のことに心臓が止まるかと思った。 この状況でまだポッキーゲームをやると言っている彼。
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