11月

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「では、いきますよ」 「え、」 「スタート」 私の手を離すと突然「スタート」と言っておもむろに自分の手元にあったポッキーをひとりで食べ始める。 あれ?ポッキーゲームをするっと言っていた数秒前の彼はどこにいったのだろうか。 なんだかものすごいスピードでカリカリ、カリカリポッキーを食べる彼にまさかと思った。 「ねぇ、ちょっとストップ!」 「え、あの、」 先ほど彼に掴まれたように今度は私が手を伸ばしてポッキーを口へ運ぶ彼の手首を掴む。 「え!?」という驚きの声を上げた目の前の彼はぽかんとした表情。 いや、まさかとは思うけれど。もしかして、この人。 彼の手首を握る手の力を緩めながら「とりあえず、落ち着いてもらっていいですか?」と彼の持つポッキーを机の上に置いてもらい、恐る恐る疑問を問いかける。
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