12月

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「そんなに、引っ張るなよ」 「うるさい。おばさんって言った罰。てか、時間ないの!禿げ散らかしてしまえ」 「は?どさくさに紛れてなんてことを。お前がナンパなんかされてるのが悪いんだろ」 「私だって好きでされてたわけじゃないの」 彼を引っ張り急いでレストランの扉を開ける。予約していた名前と時間を告げ、まだ大丈夫か聞いてみると可愛らしい店員さんが快く席まで案内をしてくれた。 席に着き未だ不機嫌そうな彼はとりあえず放っておいて。 「すみません。先にケーキとシャンパン頂いてもいいですか?」 「かしこまりました」 23時52分。店員さんに注文をし、じっと彼を見つめた。綺麗にネイビーのスーツを着こなした彼。このお店の照明効果だろうか3割り増しくらいでかっこよく見える。 「仕事終わって疲れてるのにありがとう」 「いや、僕のほうこそ遅れてごめん」 「仕事だったんだからしょうがないよ」 「でも、やっぱり例年通り1回家に帰って一緒に来ればよかった。待ち合わせなんてするからあんなことに」 「はぁ」とため息を吐き出しテーブルに肘をついて項垂れる彼。気にし過ぎだ本当に。
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