2月

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「もう嫌だ、嫌い」 ふいっと顔を逸らし彼の服の袖口をぎゅっと握った。私を不安にさせた罰。その程度でちょっとふざけて言っただけだったけれど、 するりと絡め取られた指先に引かれて私はもう一度、彼の体に抱きつく形となる。 「……そんなこと、言わないで」 耳元に囁くように落とされた弱々しい言葉。 ぎゅっと。力強く抱きしめられた体は身動きを封じられた。 「ねぇ、好きだよ」 彼にそう言われ悪いことをしてしまった。そう思った。本当に狡い。冗談ぽく返してくれたらいいのに。「俺も嫌いだし」とか言ってふざけてくれたらいいのに。 そんな悲しそうに言われたら、降参するしかないじゃないか。 「ごめん、ちょっと意地悪……しました」 「うん、俺のほうこそごめんね」 「私も、好きだよ」 「じゃ、仲直りだ」 「うん」 「じゃ、仲直りの印にそのチョコレート一緒に食べませんか?」 抱きしめられた体を少し離し、ベッドの上に置いていたチョコレートの箱を彼がするりと指さす。 「今日は、せっかくのバレンタインだから」
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