3月

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ぎゅっと彼は指先を握る力を込める。 顔を真っ赤にしながら、囁くように呟いた。 「てか、」 「……」 本当に、狡い。私は彼に握られていない方の手にある小さな箱を握りしめた。箱の中身はアクアマリンを模した飴細工。 なんなんだこの人は。こんなプレゼント、本当に狡い。 「俺と付き合ってよ」 彼の言葉は誘導尋問のようで。 ほらね。また。答えはたぶん“はい”しか用意されていない。 私の心臓は彼に聞こえてしまうのではないかというくらい、どくり、どくりと煩く鳴る。 そんな自分の胸にあぁ、なんだ、私も“はい”という返事しか持ち合わせていないのかなんて。私もなかなか狡い奴だ。 image=511158803.jpg
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