6月

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私の彼氏は、私を振り回すのが得意らしい。 6月、梅雨入りをした最近の天気は雨ばかり。 土砂降りの雨が窓の外で降っていて、もう今日は外には出たくないな、なんて紅茶を飲みながら思っていた矢先。テーブルの上で震えた私のスマホ。 画面を下向きにしていたので相手は分からないが、スマホの横に置いてあった小さな時計を見る。時刻は、18時過ぎ。 嫌な予感しかしないのは、私の気のせいだろうか。 恐る恐る、スマホを手にし画面を見てため息をひとつ。 嫌な予感が的中したのは、言うまでもない。 表示されているのは、彼氏の名前。内容は“土砂降りなのに傘を忘れたから、迎えに来てほしい”というもの。 スマホのロック画面に表示されたその文字の羅列を読み、LINEを開こうと試みるが、あれ。外に出ないと決めた私の心が反抗している。 ホームボタンを押すことなく、手にしたスマホを再度テーブルに戻した。 そういえば未読無視って、最近流行ってるって友達が言っていたような……。 と、訳の分からない流行りを勝手に作り、流行りに乗っかってみようと、なんとも陳腐な作戦を決行。 何事もなかったかのように口元へ紅茶の入ったマグカップを運び、それを楽しむ。私はなにも見ていない。と、まるで呪文のように唱えた。犯罪者の気持ちはこんな感じなのだろうか。 と、今度はブー、ブー、と連続して震えるスマホにLINEではなく電話のお知らせ。 きっと絶対に彼氏からだろうと思い画面を見れば、知らない番号。 いったい、誰だろう。 するりと、手にしたスマホの通話ボタンを押す。
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