7月

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「嫌いです」 その勢いのまま、彼の質問に答える。と、くすくすと笑いながら「あーあ、嫌われちゃった」なんてふざけた口調で言うから、割れてしまうのではないかというくらい、ぎゅっと空になったグラスを握りしめた。 「飲み物、同じのでいい?」 「……」 「すみません、彼女に同じものを」 彼の言葉を無視して俯いていれば、バーテンダーに同じものを注文する彼。 しばらくしてから「どうぞ」と言われて目の前に差し出されたのはさきほどと同じ赤色のカクテル。 なにも言わず、彼は黙ったまま私の隣で綺麗な黄緑色のカクテルを飲んで頬杖をついた。 なにを考えているんだろう。この人は私のことなんか好きじゃないんだろうな。 ちらりと向けた視線は、簡単に彼に捕らわれて。瞳があった瞬間、どくりと心臓が唸ってうるさい。
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