9月

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「早かったね」 「……え」 「いや、あんまり早いからびっくりしたよ。ごめん、俺まだ着替え終わってない。とりあえずどうぞ」 あれ?だって“ねぇ大至急、俺の家に来て!”って言ってましたよね?あれは私の聞き間違い? なんだか一気に体の力が抜けた。 扉を開けて「どうぞ」と至極当たり前に私を部屋へ招き入れようとしているのは約1時間ほど前まで、緊急を要しているであろうと思っていたその人。 玄関に足を踏み入れ、背後で重たい扉が閉じる音を聞いた。 じっと、そこで立ち尽くし目の前の彼を見つめる。 そんな私をおかしく思ったのか「どうした?」という視線を向けてくる彼。 「上がりなよ」 「ねぇ、」 「ん?」 「体調が悪くて、寝込んでるんじゃないの?」 「え、いや、俺元気だけど」 「じゃあ、なにか悪いことに巻き込まれて困ってるんじゃないの?」 「なにそれ、ドラマの世界?」 真剣に問いかければ笑いながら、なにを言ってるの?みたいな反応をされ、イライラが募る。 まさかとは、思うけれど。
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