プロローグ 『補習男子』

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「あーあぁ……。なーんか、嫌になっちゃうなぁー」  夏休み初日だというのに、今、私は学校に居る。  高2へ上がってすぐに入院したせいで、出席日数が足りなくなり夏休みに補講という形でそれを補うこととなった。  でも、初日から補講は酷いと思う。  昨日だって、終業式を喜び帰宅していくクラスメイトを眺めながら、持ってきたお弁当を食べて補講を受けた。 「みんなと遊びに行くつもりだったのに!」  夏休みで人気の無い廊下で「うがー」と叫ぶと、以外とよく響く。知らなくてもいい情報。 「はぁ……」  ため息交じりに歩いていると、あっという間に補講をする2-1のクラスにたどり着いた。  前日に聞いた話だと、私以外にも数人、補講する生徒が居るらしい。  ただ、その人たちは私と違って成績が悪いだけ――かといって、私の成績が良いわけじゃない――なので、補講の時に行われる簡易テストで良い点数が取れれば、それ以降、補講を受けなくても良いらしい。  補講というか、補習か。  ガラガラガラ、とドアを開けると――。 「うげっ!?」 「あ〝?」  目の前にヤンキーが立ちはだかっていた。今時流行らない、キンキンに脱色された頭をしたヤンキーが!! 「えっ、あのっ、びびっ、ビックリして!」  ひょいっ、とヤンキーの脇を跳ぶように抜け、教室の中へ入っていく。  気づかれないように後ろをチラリと見ると、ヤンキーはこちらに構うことなく教室を出て行った。 「はぁ~、怖かった」  やっぱそうだよね。補習組と一緒に補講を受けるんだから、あぁいったやからが居るのは当たり前だ。  でも怖いなぁ。あんなのと一緒だなんて、落ち着いて補講も受けられない。  ビクビクしながら教室内を見渡すと、朝も早くからすでに4人も居た。さっきのヤンキーも会わせると4人か。しかも、全員、男子。 「おっ、おはよ~ございま~す……」  精一杯の笑顔を作って挨拶をする。 「あっ、オハヨー」「おはようございます」「はい、うっす」「…………」  3人は挨拶を返してくれた。1人は挨拶どころか、こちらを見ることもなかったけど、私も関わらないようにするから良いだろう。  うん。良いはず!
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