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海を背にした私の視界の先にある、天を貫く尖塔が建ち並ぶ都市は、最終戦争の戦禍によりガラス化していて太陽の光を反射し海の色に煌めいています。
都市は今やその大部分が草木に侵食されていて、混じり合い絡み合っています。
奮闘はしましたが、私一人では植物たちの侵攻を防ぐことは不可能でした。
しかしそれで良かったのでしょう。
今や老朽化した煌めくガラスの都市は植物たちの手によって支えられ当時の形を保っているのですから。
かつての大都市と海との境界で、穏やかな風に身をさらしながら思います。
この丘がある地に私は、果たしていつまでいられるのでしょうか。
海に浸食されるのが先か、空が降りてくるのが先か。計算は可能ですがすることはありません。
それを知ると永遠が永遠ではなくなってしまうから、嫌なのでしょう。
ひどく感傷的になったものです。しかしそれがとても嬉しいのだと、私は感じるのです。
丘に座り、草を撫で、風を感じ、何万年も昔に存在していた『歌』を海に向かって口ずさみます。
私は人々が遺していった歌が好きです。
でも私には新しく歌を作り出すことが出来ません。
だからこうして、記憶の箱に詰まった数少ない譜面を何度も何度も繰り返しなぞるのです。
果たして、どれだけの数繰り返し歌を口ずさんできたのでしょうか。
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