永遠に奏でるオルゴール

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果たして海の底に沈んだ都市が今どんな姿で残っているのかは私には知り得ませんし、知りたいとも思わないのですが、彼等は人についてとても強い興味を持っていて、私に遥か昔の世界の物語を尋ねるのです。 私は腰を上げて海岸線へと歩きます。 そこには三頭のイルカが海面から顔を出して並んでいました。 '先生、聞かせて' '先生、聞かせて' イルカたちは私の事を「先生」と呼びます。 誰が最初にそう呼んだのかは知りませんが、その呼称は彼等の間で何千年も受け継がれています。 何千年もの間、私はイルカたちの要求に応え同じ話を繰り返し聞かせてきました。 かつてそこで生きていた「人間」たちの話。 かつて繁栄していた人々が、滅びるまでの叙事詩。 だから私のする話のほとんどは海の底で、イルカたちの間でも語り継がれているようです。 それでも私の元にこうして訪ねに来る者が後を絶たないのは、どうしてなのでしょうね。 もしかしたら彼等の目には私が寂しく映っているのかもしれません。だから訪ねて来てくれるのかも? 彼等はとても礼儀正しくて、優しいですからね。 私は自分が寂しいと感じた事はないと思っているのですが、彼等が訪ねて来てくれるととても嬉しいと感じます。 これは密かに寂しさを感じている証拠なのかしら。 私はイルカたちの言葉で返します。 '今日は何の話をしようかな' '先生の事が知りたい' '先生の事を教えて' あらこの子たちは、初めてのお客さんですね。     
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