永遠に奏でるオルゴール

'機械人形は、生みの親であるその人間のために永久機関が存在していた事実を証明しなければならないと思いたちます。
そしてその証明のために、永久に存在し続ける事を決意しました'

'先生だ'
'先生だ'

あら、今日のお客さんは賑やかしですね。

'でも、それはとても難しい事でした。
機械人形が永久に存在するためには、磨耗していく部品を取り替え続ける必要があったんです。
しかし機械人形にはそのための知識も技術もありませんでした。
だから機械人形は永久に存在し続けるられるすべを身に付けるために人間を装い、人間の社会の中に飛び込みました'

当時の私は目的だけをインプットした人形でした。感情などなく、ただ永久に存在し続けるという目的のために動いていました。
人間社会に溶け込むためだけに感情を模倣する事は……それすらもありませんでしたね。

'人間の社会に入り込んだ機械人形は一人の青年に近づきます。その青年は機械人形が求める知識と技術を持っていました。
機械人形は彼の側で人間を装い続けました。そして機械人形は永久に存在し続けるための知識と技術を身につける寸前のところまで来ていました'

その頃になると青年は老人になっていました。
私は彼の助手であり、そして妻として人間社会に紛れ込んでいました。