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「これだけは、解決できてないんだよなぁ。相談カード書いて貰ったか?」
「もちろん」
叔父さんにも解決できていない問題がある事に驚きつつ、慌てて相談カードをさがすと、応接用(まったり用)テーブルに果たしてそれはあった。
書かれている内容は、聞き取った事と依頼人の名前。
「ハル君だろ、依頼者」
見ずともわかっていると叔父は断定した。
確かに。連絡先は空欄。名前欄にはハル、とだけある。
「夏の花が6月中に咲ききっちゃったりして、毎年酷くなるなぁ」
「ですねぇ」
「一体なんのこと?」
話がいまいちわからない。
唯子さんは、リモコンを手にして、テレビをつけた。
ちょうどニュースの時間。
そこでは、豪雨や竜巻による各地の被害を伝えていた。
『今年は台風も次々発生しています。皆さんくれぐれもご注意を』
温暖化による夏の異常気象。気温が30度を超えても驚かなくなった。暑さの質もどんどん変わっている。
ハルの依頼は、かつての夏を取り戻すことだった。
昔は、熱中症で倒れることなんて少なかったが、今では常に心配がつきまとう。
取り戻すのは難しくても、これ以上進ませない為に、どうにかして欲しいと訴えたかったのか。
「自分たちができることからしないと」
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