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そこから先は皆の知る限りだ。
這う這うの体でこの世界の首都へとたどり着いた俺は、周りからは勇者だ勇者だと担ぎあげられ、こうして実際に魔王を退治するに至ったのだ・・・
・・・
「本当にそんなことがあったんですね・・・」
さっきから話を聞いていた仲間は慎重にうなずいた。
「信じてくれるのか・・・?」
「当り前じゃないですか!今まで一緒に戦ってきた仲間でしょう?仲間のことは絶対に信じる。あなたの言葉じゃないですか」
目じりに雫がたまり、俺は素直に「ありがとう」と伝えた。
「でも、やっぱり勇者様は元の世界に戻りたいんですよね・・・?」
「いや!そんなことは無いんだ!この世界に来てからいろんな人と出会っていろんなことを体験した。もはやここが俺の本当の世界だと思っている」
「本当ですか!?よかったです!勇者様に会えなくなるなんて考えられませんから!でも、それならなぜ今になって告白を?」
「それは一緒に頑張ってきた仲間に俺の出生を伝えられない後ろめたさがあったのと、さっきからずっと違和感みたいなものを感じていて不安になったのからさ」
「違和感・・・ですか?」
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