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「へえーお化け屋敷」
百瀬はアパートに駆け込んできた不機嫌な顔の亮太にジュースを渡した。
百瀬禄郎は近所のアパートに住む大学生である細身で童顔でどこか頼りなさそうだが
父親と旧知の仲らしく、よくうちでご飯を食べるなか滝川少年とも親しくなった。
「良かったじゃない 夏休みの予定できて」
「でもさ加賀美と一緒てのがなあ」
「加賀美?」
「同じクラスの加賀美聡史! なんかムカつくんだよ。 気取っててさ頭良くてイケメンで」
「けなしてるか誉めてるかわからないね」
百瀬がクスリとすると
「とにかく!田中と二人でなんてさせられないからさ」
「田中?ああもう1人のメンバーだね」
「そう女の子 二人きりなんて絶対ダメだよ」
「フフ…でもお化け屋敷かあ。僕も昔よく行ったな」
「え?百瀬さんが?そうゆうの信じないと思ってたよ」
意外な顔を浮かべる亮太に
「不思議な事とかワクワクするからね、と言っても君ぐらいの年頃の話だけど、よくつぶれた病院や空き家なんかを友達とね」
「へぇ」とうなずきながら彼は別な思いにはせていた
百瀬の優しい声も人の良さそうな顔立ちも もうすぐお別れかと
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