お化け屋敷

4/6
前へ
/45ページ
次へ
「へえーお化け屋敷」 百瀬はアパートに駆け込んできた不機嫌な顔の亮太にジュースを渡した。 百瀬禄郎は近所のアパートに住む大学生である細身で童顔でどこか頼りなさそうだが 父親と旧知の仲らしく、よくうちでご飯を食べるなか滝川少年とも親しくなった。 「良かったじゃない 夏休みの予定できて」 「でもさ加賀美と一緒てのがなあ」 「加賀美?」 「同じクラスの加賀美聡史! なんかムカつくんだよ。 気取っててさ頭良くてイケメンで」 「けなしてるか誉めてるかわからないね」 百瀬がクスリとすると 「とにかく!田中と二人でなんてさせられないからさ」 「田中?ああもう1人のメンバーだね」 「そう女の子 二人きりなんて絶対ダメだよ」 「フフ…でもお化け屋敷かあ。僕も昔よく行ったな」 「え?百瀬さんが?そうゆうの信じないと思ってたよ」 意外な顔を浮かべる亮太に 「不思議な事とかワクワクするからね、と言っても君ぐらいの年頃の話だけど、よくつぶれた病院や空き家なんかを友達とね」 「へぇ」とうなずきながら彼は別な思いにはせていた 百瀬の優しい声も人の良さそうな顔立ちも もうすぐお別れかと
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加