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「健ちゃん、お昼どうする?」  ほぼ男子ばかりのクラスの中で女子は5人。  どれも見栄えはイマイチで、その中で一番まともなのがコイツだった。  名前をマリエとかマリカとか言ったがよく覚えていない。  とりあえずマリと呼んでいる。  そんな程度。 「売店で済ますわおれ」 「じゃぁ、あたしもそうしようっと」  入校日にいきなり「友達になろう?」と声をかけてきた女だ。  「まともな男子がいてよかった~」とは失礼な話だが、見回す限り、垢抜けないクラスであることは確かだった。  華やかな女子がたくさんいる文系クラスが羨ましかったので、初っ端に女友達が出来たのは幸先が良い。  抜きん出ることを要求されるクラスの中で、休憩時間の度に集まってはバカ話に興じた。  何となく人が集まってくる。  賑やかな話の輪が出来る。  クラスの雰囲気は悪くない。 「くすっ」  ジュースを飲んでいたマリが突然笑った。  ネコがくしゃみをしたような小さな笑い方は嫌いじゃない。  女の子だなぁ…と、妙に可愛く見えてしまう。
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