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「手?」 「うん、手」 「それは初めて言われたな。見比べたこともないし。と言っても5年ぶりに会うんだけどな。大きさが似てるのか?」 「ううん、違う…」  シーツの滑る音がして、スダレが近寄ってくる。  細い腕にわずかな星明りが差し、ほんのりと青白く光っている。  その滑らかな色にゾクリとした。 「手…、握ってもいい?」 「なんだよ今更、今日は散々握ってきたくせに」 「うん、だから手がね…」  華奢な指先が絡まる。  しなやかで柔らかく……、冷えていない。  叔父から分け与えられた温もりのある手だ。 「先生と同じに、こうしているとホッとする。どうしてかな?」 「親や兄弟を思い出すんじゃね?」 「……」
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