秘めた想いを伝えるとき

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「麻子、お父さんの期待裏切らんとってな」 エプロン姿のお父さん… 私以外、誰も知らない。 しかも 学校で毅然とした教頭とは違いすぎる… ほんとはとっても優しいんだ。 でも、母親がが早くに亡くなったことで 私に責任を感じてるようで それは辛い… お父さんのせいじゃなくて 運命だったんだから… それでも 再婚もしないで 男手ひとつでここまで大きくしてくれた。 すごく感謝してるんだけど 多感なお年頃だから すぐつっけんどんな態度になってしまう… 心でごめんなさい…と言いながら 愛想のない娘です。 「ちゃんとやってるし」 「ほら、こないだの模試の結果」 リュックサックから取り出した 模試結果の紙を お父さんに渡した。 「あれー、前より上がってる…」 でしょ? 「これで、チアダンス部と勉強の両立が出来てるってことでしょ?」 「…んだなぁ…」 困った顔してる…(笑) けど、そこは言われたくなかったから 勉強も頑張ったわけだし。 「はい、弁当」 「ありがと」 当たり前なんて思ってないからね… お父さんが 毎日お弁当を作ってくれてること。 感謝してます。 「じゃ、行ってきます」 「行ってらっしゃい」 「気をつけてな」 「わかってるー」 いつか 素直な自分になれたら 優しい娘になるね。 今は… 反抗期でごめんなさい 言葉に出来ずに 心の中でつぶやいた。
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