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「なあ、見えないものを見るにはどうしたら良いと思う?」
悠真の問いに、少女は電話の向こう側で絶句した。
黎の体質を疑うことも気味悪がることもなく仲良くなった悠真だが、これにはれっきとした理由があった。何を隠そう、悠真の幼馴染も似たような人間だったのだ。
五十鈴、と些か古風な名前を付けられたこの少女は、昔から不可思議な現象に立ち会うことが多い。そんな彼女だからきっと良い方法を知っているだろうと、夜中なのもお構いなしに電話をかけてみたのだった。
「今日だけでも色々試してみたんだよ、霊感をゲットする方法。でもどれもイマイチよくわからなくて。なあ、何か知らないか?」
『ちょ、ちょっと待って、全然話が見えない!』
捲し立てる悠真を遮り、五十鈴はわざとらしく深呼吸を繰り返す。
『いきなりどういうことなの。霊感少年にでもなるつもり? 違うよね、そんなキャラじゃないもんね。・・・どうしたの?何かあったの?』
「大アリだ。早急に見たいものがあるんだよ」
真剣な悠真の声に、単純な興味本位で言っている訳ではないと感じたらしい。先程よりも幾分落ち着いた声で、五十鈴は事情を説明するように促す。悠真は正直に、霊感のあるクラスメイトの存在と青い桜のことを話した。
『・・・成程ね、話はわかった。そのクラスメイト君の言う青い桜が見てみたい、と。わかったうえで言うけど、急に霊感を身に着ける方法なんてないと思うよ』
期待とは違い、幼馴染の返事はそっけないものだった。ベッドの上に寝転がっていた悠真は、その言葉に力なく床へとずり落ちる。
「やっぱり駄目かぁ。俺、霊感のセンスが無いのかな・・・」
『霊感のセンスってなによ』
冷静な突っ込みに思わず溜め息が出る。やはり青い桜を見ることは叶わないのだろうか。諦めて携帯を切ろうとした悠真の耳に、慌てたような声が届く。
『あっ、ちょっと待って。なんとかなるかもしれない。もしかしたら、だけど』
「本当か!? 何をすればいい!?」
先程までの落ち込みようはどこへやら、勢いよく起き上がった悠真の絶叫に、五十鈴は声を潜めた。
『することはそこを訪ねることだけ。私、良いお店知っているのよ』
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