0人が本棚に入れています
本棚に追加
逃げていった彼らの足音は、階段を駆け下りたのか、随分と小さくなっている。そして、教室の真下に位置する視聴覚室から外に出てくる音が聞こえた。
「ほら、やっぱり何かいる!」
「やばい! 逃げるぞ!!」
彼らは頭上を見上げたのだろう。やはり教室のベランダに何かがいるという台詞を残して、走り去って行く。心配事は他にもある。この騒ぎを聞きつけた警備員が、いよいよやってくるかもしないのだ。
誰かにあれを見られるという最悪の事態は免れたのだ、と回収できなかったことに後ろ髪を引かれながらも階段を駆け降りた僕は、彼らの後を追うように夜の学校を去った。
最初のコメントを投稿しよう!