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こうして僕らは
翌日。誰よりも早く登校した僕は、教室に駆け込むと机の中に手を伸した。一日離れていただけて懐かしさを感じる革の感覚が指先に触れ、ほっと胸をなで下ろす。そして中身を確認しようと取り出すと、大事な写真に紛れて見覚えのない物が挟まっていた。
「これは・・・・・・」
彼らの悪戯だろうか、手帳の中には淡い色の手紙が入っていた。
彼らが話していた怪談を思い出し、戦慄している間に、クラスメイトたちが続々と登校してくる。いつの間にか、僕が密かに想いを寄せている女子生徒の姿もあった。
そう、大変な忘れ物とは、この手帳にしまってある彼女の写真だ。
去年の文化祭で、クラスの様子を思い出に残すという体で写真部の友人に頼み、彼女とのツーショットを撮ることに成功したのだ。ついでに彼女単体の写真も何枚か撮って貰っていた。
その写真を大事に持っていることがバレてしまったら、たちまち噂が広まってしまうだろう。だから何としても、誰かに見つかる前に回収したかったのだ。
「どうした、気分でも悪いのか?」
「いや、大丈夫」
様子がおかしい僕を心配したのか、写真を撮ってくれた友人が声をかけてきた。
「なあ、聞いたか?」
「何を?」
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