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「昨日、あいつらが見たらしいぜ」
「見たって?」
「ほら、肝試しするとか言ってただろ? そんで、この教室に来た時、女子生徒の霊がベランダに立ってたんだと」
「へー、そうなんだ」
やはり彼らは、僕ではない何かを見てしまったようだ。
「何だよ、反応悪いな。あっ、もしかしてこの学校の怪談知らない?」
友人の話は、彼らが話していた内容と概ね一致する物だったが、重要な追加事項もあった。
「それでさ、手紙が届く席って言うのが、自殺した女子生徒が使っていた場所なんだよ」
まさか・・・・・・。
何とか平然を装っている僕に、友人が追い打ちをかける。彼の悪戯な視線に冷や汗が流れた。
「その席って言うのがお前の席なんだけど、何か入ってなかった?」
「いや?」
白々しい返事をした瞬間、教室に担任が入ってきた。HRが始まる中、鞄の中に隠すようにしまった手紙の存在が気になってしかたなかった。
昨日、肝試しをしていた女子生徒は学校を休んでおり、男子生徒たちは武勇伝でも語るように休み時間毎に騒いでいた。
補講が全て終わると、僕は鞄を抱えて帰路についた。何に追われている訳でもないのに、自然と自転車のペダルを漕ぐ脚が速くなる。
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