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学校の怪談
足跡の数からして、昼間に肝試しをすると言っていたグループだろう。思い立ったら即実行という行動力は、何かと慎重になりがちな僕としては見習いたいものだが、この現状では迷惑な話だ。彼らが騒ぎを起こせばすぐに警備員たちが嗅ぎ付け、僕も逃げ惑う羽目になる。
そうなる前に、なんとしても“あれ”だけは回収しなければ。
幸いにも月明かりは殆どない。身を屈めて構内を移動する僕の姿は、目立たないはずだ。しかしそれは、僕にも苦行を強いることになる。
暗闇の中を移動するのは非常に困難な作業で、携帯のライトで足元を照らしたくなる気持ちを何度も押さえながら、漸く教室棟の正面まで来た。窓から校舎内を覗くと、非常ベルの明かりが点々と灯り、外程の暗さは感じないが、逆に異様な雰囲気を演出している。
「さて、どこから入るか……」
彼らは目ぼしい場所があると話していたが、果たしてどこだろうか。トイレが一番に思いつくが、そんな簡単な話だろうかと思いながら回ってみると、誰かが壁を登って侵入した跡があった。
「えー、本当にここかよ」
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