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あまりにも在り来り過ぎて、思わず笑いそうになるのを堪えながら、女子トイレの窓をよじ登った。やはり、彼らはこの校舎の中にいるらしい。
靴を脱いで教室に入ると、いつもとは違う床の感触に鳥肌が立った。妙な冷たさが恐怖を煽る。やはり、夜の学校というのは肝試しにピッタリの雰囲気だ。
何も出てきませんように。
せめて、彼らと鉢合わせしませんように。
忍び足で廊下を移動し、何か動く気配がないかと周囲を常に警戒しながら階段を一歩ずつ登っていく。彼らはどこを冒険しているのだろうか。
学校の怪談と言えば、音楽室や理科室だが、鍵がかかっていて中に入ることはまずできないだろう。となれば、教室やトイレを見ることぐらいしか思いつかない。と言うことは、これから遭遇する可能性が非常に高くなる。
神経を一層張り詰め、無事に教室がある三階まで上がった僕は、ゆっくりと廊下に顔を覗かせた。そして耳を澄ませると、左側から微かに物音が聞こえてくる。
「やばい、怖い!」
「シーッ! 大丈夫だって」
「あははは」
這うように響いてくる男女の声。数からして五人。どうやら北側のトイレにいるようだ。花子さんでも呼んでいるのだろうか、ノックする音も聞こえた。
僕らの教室は南側にある。彼らが北側の教室を散策してる間に向かえば、彼らと会わずに探し物を回収できるかもしれない。
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