学校の怪談

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 しかし、彼らの動きが読めない以上、背後を取られるのは避けたかった。逃げ道となる階段も、今上がってきた中央と彼らがいる北側の端にしかないのだ。  兎に角、今後の彼らの動きを探ろうと耳を澄ませていると、気がかりな会話が聞こえてきた。 「あっ。そう言えば私、教室に忘れ物したんだった」 「んじゃ取ってこいよ」 「えー、付いてきてよ!」 「何でだよ」 「怖いじゃん!」  少しずつ近づいてくる足音。僕は階段を少し降り、踊り場で身を屈めて彼らが通り過ぎるのを待った。 「そう言えばさ、この学校の怪談って知ってる?」 「そんなのあんの?」 「おう、肝試しするっていうから調べたんだよ」 「マジで」 「大抵がありがちな話なんだけど」  理科室の模型や音楽室のピアノ、美術室の像にプールの霊など、小学校で語り継がれているような内容が語られた後、非常に気になる話が続いた。 「呪いの手紙って知ってるか?」 「呪いの手紙?」 「知らなーい」 「学校の屋上で飛び降り自殺した女子生徒から手紙が届くって話」 「えっ、何それ?」 「いつの間にか机の中に手紙が入ってて、読んだ人間に不幸が訪れるっていう怪談」 「へー、珍しい話だな」 「どんな話なの?」 「好きだった男に手紙を渡した女子生徒が、周りにその内容をばらされて笑い者にされた結果、恥ずかしさから堪らず自殺して、その恨みをみたいな」 「うわー、最低じゃん」     
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