0人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、彼らの動きが読めない以上、背後を取られるのは避けたかった。逃げ道となる階段も、今上がってきた中央と彼らがいる北側の端にしかないのだ。
兎に角、今後の彼らの動きを探ろうと耳を澄ませていると、気がかりな会話が聞こえてきた。
「あっ。そう言えば私、教室に忘れ物したんだった」
「んじゃ取ってこいよ」
「えー、付いてきてよ!」
「何でだよ」
「怖いじゃん!」
少しずつ近づいてくる足音。僕は階段を少し降り、踊り場で身を屈めて彼らが通り過ぎるのを待った。
「そう言えばさ、この学校の怪談って知ってる?」
「そんなのあんの?」
「おう、肝試しするっていうから調べたんだよ」
「マジで」
「大抵がありがちな話なんだけど」
理科室の模型や音楽室のピアノ、美術室の像にプールの霊など、小学校で語り継がれているような内容が語られた後、非常に気になる話が続いた。
「呪いの手紙って知ってるか?」
「呪いの手紙?」
「知らなーい」
「学校の屋上で飛び降り自殺した女子生徒から手紙が届くって話」
「えっ、何それ?」
「いつの間にか机の中に手紙が入ってて、読んだ人間に不幸が訪れるっていう怪談」
「へー、珍しい話だな」
「どんな話なの?」
「好きだった男に手紙を渡した女子生徒が、周りにその内容をばらされて笑い者にされた結果、恥ずかしさから堪らず自殺して、その恨みをみたいな」
「うわー、最低じゃん」
最初のコメントを投稿しよう!