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「お前だって似たようなことしてただろ」
「してないよー」
彼らは学校に侵入していることを忘れているのか、いつものような声量で話しながら、階段の横を通り過ぎていった。
「それで、手紙が届いた人間に恋人がいたら、そのカップルは近いうちに別れるって言われてるんだよ」
「えー、逆恨みかよ」
「最悪じゃん」
やがて足音が止まり、教室のドアがスライドする音が聞こえてきた。堪らず廊下に出た僕は、気配を消しながら彼らの方に近づいていった。
「やっぱ夜の学校って不気味だな」
「でもさ、この校舎って結構綺麗だから雰囲気でないよねー」
「今度は廃虚でも行くか」
「いいねー」
滑り込むように隣の教室に忍び込んだ僕は、ドアの後ろに隠れながら彼らの会話に耳を澄ませた。
「忘れ物はあったか?」
「うん、あったよー」
「ねえねえ。折角だからさー、誰かの机に手紙に入れない?」
「おおー、良いね。面白そう!」
「でも、誰にするよ?」
「地味な奴に入れてさ、こっそり反応見ようよ」
「ラブレターだと思って、キョドリ始めるかもな」
教室を漁っているのか、椅子や机を動かしている音が聞こえる。
「あははは。じゃあ誰にする?」
「アイツは? いつも本ばかり読んでる」
「あー、こいつね」
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