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さて、この印刷会社での労働は大変ハードなもので、途切れることなく近所の親会社(出版社)からデータやら生原稿がやってきて、オペレーターが編集部の指定通りに新規組みをしたり修正を施したりし、それが正しく仕上がっているのかどうなのかというのをチェックするのが校正に課せられた仕事であるが。そう簡単に印刷できる状態にもってはいけないのである。
トラブルの原因は編集部の指定にもあるし印刷会社の失敗もある。作家が薄アミ印刷の限界を理解していないのも一因とか。どっちがどうとか、誰が悪いとか、印刷会社をあとにした今となっては懐かしいだけなので割愛する。
前置きはこのくらいでいいだろう。
~コミックミッドナイト~
社員、契約社員は従って仕方ないだろうと思われる残業量を派遣社員にも等しく分け与える会社だった。
(あぁ、終電で帰れない)
たった一人の作家の原稿待ちで終電で帰れなくなることなど当たり前であった。
(大御所だからって毎週入稿遅れやがって、いろいろ呪ってやる)
とはいえ流石大御所だけあって話は面白いのだ。面白いから待たされても仕方がないと思えてしまうところもある。そのへんのジレンマも結構なストレスになる。
(なんのために派遣という働き方を選んだんだ。入ったときと話が違うじゃないか)
朝の9:30に出社して、コンビニおにぎりかじりながら陽は沈み、あれよという間に時計は0時を指している。こんな働かされるなら保証のある内部の人間にして欲しいとさえ思う。
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