「ごめんね」

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「なにを、そんなに隠そうとしてるのですか?」 「え、」 「その香りですか?バレないうちに早くシャワーで流したいんですか?」 憶測で酷いことを言っているのは分かっている。でも、 ねぇ、もみじくん。誰と会っていたの? 気になってしまう。 「あんず?」 「……もみじくんなんて、もう知らない」 もみじくんの態度に無性にイライラして、私にしては珍しく大好きなもみじくんに冷たい言葉を吐き捨てて寝室に逃げ込んだ。 鍵をかけて、もみじくんが入ってこれないように。 今日は一緒に寝たくない。もみじくんなんかリビングのソファで寝ればいいんだ。 ベッドにダイブして、毛布に包まる。 〈コンコン〉 「あんず」 「……」 「ねぇ、あんず、ここ開けて」 扉をノックする音と共に聞こえてきたのはいつも通りのもみじくんの声音。 「ねぇ、あんず」 「嫌です」 「あんず、さっきはごめん冷たい態度とって。だからここ開けて」 「もみじくんが、どこで、なにして、その香水の香りがなんなのか教えてくれるまで、開けません」 みっともないのは分かってて。それでももみじくんが好きだから。嫌なものは、嫌で。
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