「ごめんね」

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「ごめん、あんずそれは言えない」 「もみじくんなんか嫌い」 「でも、僕は好きだよ」 「……私は、嫌い。もみじくんなんか、嫌い」 「……そっか」 パタパタともみじくんのスリッパが床と擦れる音が遠くなっていく。 胸がざわざわして、ぎゅっと拳を握りしめたのと同時に涙が溢れた。しんっとした空間は私ひとりだけぽつりと取り残されてしまったみたいで。 枕元の時計だけが、チッチッチッチッと、狂うことなく自らの仕事を全うしている。 するりと、涙で滲む視界で時計を見ればちょうど日付が変わった。 と、ルームウェアのポケットでスマホが震える。 image=512163094.jpg
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