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「あーあ、見られてしまいましたか」
「……ごめんな、さい」
「あんずが思ってること全部教えてくれたら許してあげる」
けれど、あれ……?と、ひとつの疑問が浮上した。
100歩譲ってスマホを見てしまった私は悪いけれど、結婚していながら他の女の子と楽しんでしまうことは罪ではないのだろうか……?
楽しんでいるかどうかは、実際まだ分からないけれど。
じっと見つめてくる視線が痛くて、下唇を噛み締めた。
「ねぇ、あんず、教えてください」
「……見てはいけないものを見てしまったと思いました」
「うん、それから?」
「もみじくんなんて、嫌い」
「うん、それは許さない」
「……え、」
「あとは?」
「サクラさんって、誰、ですか……?」
「うん、あとは?」
「もみじくんは、私よりサクラさんのことが、好きですか……?」
そこまで言って、ふわりと大きな掌に頭を撫でられた。
「やきもち、です。もみじくんが知らない女の子と連絡を取っていて、やきもち、妬きました……」
「バカ」
え、バカって、バカって言った。ねぇ、もうこれはあれですか?離婚ってやつですか?
「佐倉唯人」
「え、」
するりと見せられたスマホ画面のLINEのアイコンにはもみじくんに負けず劣らずな綺麗な顔の男の人の写真が。
「男だよ」
「……え」
「はい、僕に謝ってください」
「……勝手にスマホを見てすみません、でした」
「それじゃない」
「え、疑ってすみませんでした」
「本当だよ」
「……すみません」
「でも、」
「……?」
「あんずがやきもち妬いてくれたのは嬉しかったので、今後は、」
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