「一目惚れって信じますか?」

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「一目惚れって信じますか?」

ーー4年前。もみじくんとの出会いのお話。 仕事が終わりいつものように、いつもの駅へ向かう。 ホームで電車を待っていれば、ドンッと、突然背中になにかがぶつかった。振り返ったその先にはチャコールグレー色のスーツに身を包んだ高身長の男性。 『あ、あのすみません』 『いえ、私は大丈夫です』 『あ、あの、本当にすみません。ぶつかった拍子に僕のコーヒーがかかってしまったようで』 少し低めの甘い声音を響かせるその人。自分の着ていた白色のワンピースに視線を落とせば盛大に裾に着いてしまった茶色のシミ。 あらら。でも仕方がない。 『このくらい大丈夫ですよ。それにこのワンピース安ものですし、私これから帰るだけなので』 『いえ、本当に申し訳御座いません。クリーニング代をお支払いしますので』 『いえ、そこまでしてくださらなくても』 『ダメですよ。せっかくの可愛いワンピースなのに』 さらりと、スマートにそう言った彼は持っていた鞄から手帳を取り出しスーツの胸元に差していたペンでさらさらと文字を綴っていく。 手帳からその1枚を破り差し出されまそれを見れば名前と電話番号が綴られていて。 『本当にすみません。今度お詫びも兼ねてなにかご馳走させてください』 『いえ、本当に結構ですので』 『でも、それでは僕の気が治りませんので』 律儀な人だなと思いつつ、差し出された紙を受け取った。 綺麗な筆跡で綴られた彼の名前と電話番号。彼の綺麗な顔立ちにその文字も、書かれていた名前もとてもよく似合っていて。
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