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彼は【青】と呼ばれていた。
人は悲しくなるとふと彼のことを呼んでいた。
失恋したときや失敗したときにはに、ブルーな気持ちと言って彼を呼び。
結婚する前にこの人でいいのかとマリッジブルーと言って彼を呼び。
特に何かあるわけでもないけれども気持ちが上がらないと彼を呼んだ。
悲しみ、憂鬱、哀愁、拒絶、後悔そんな感情を彼の名前でつぶやいた。
彼はそんな人たちの元に現れて、寄り添い共感し時には共に涙を流した。
人は彼と寄り添い感情を言葉にし、涙にし、詩にして、彼と時を過ごす。
いずれ人からそれらの感情が流れて消えて、人はまた笑顔に過ごしていく。
彼はそんな流れた感情を受け止めて、また次の人が呼ぶのを待っていた。
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