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人々が負の感情をぶちまけるときどこからともなく彼はすぐさまかけつけて隣で
慰め、励まし、共に泣き、共に努力して、彼らのモノを引き受けていった。
来る日も来る日も…
そんな彼にも限界はある。彼にも抱えきれるモノの数が決まっている。
彼は月日とともに多くのモノを抱えて重くなり、駆けつけられなくなってしまった。
遂に動けなくなってしまった彼は小高い丘の上で大きく寝そべって天を見上げた。
するとどうだろう、彼の体はその重みが嘘のようにフワフワと浮かび天に昇って行った。
彼は天に行ったのではない、彼は空に帰って行ったのだ。
そう、青く広がる空は彼ら【青】のふるさとなのだ。
人々の負の感情を受け止めた彼らは空に帰り、その負の感情を集めて今度は雨にした。
雨となった負の感情はやがて青く広がる海へと流れていく。
それが彼らの役目なのだ。
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