元英雄の苦悩

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 取り敢えず腹が減った。  よくよく考えれば一週間分家の奴等に缶詰にされていた挙句、澪華(れいか)十寺(じてら)の事ばかり頭の中を駆け巡ってて、ロクな食事をしてない。  今日の朝だって食欲が湧かず、断食してずっと煙草吸ってたぐらいだ。  居間の扉を勢い良く開け、テレビに程近い所に座り、テーブルに置いてあった灰皿を寄せ、テレビの電源を点ける。  テーブルの上を見渡し、あれぇ、と言いながらテーブルの下など隈なく探しながら大きく溜息を吐き、大声で叫ぶ。 「おい飯!! あと煙草買ってこいつったろ!!」 「既に買ってあります」 「どこにあんの!!」 「棚に……」 「はぁぁぁぁぁぁ……? 面倒くせえ!!」  慌しく立ち上がり、棚の二番目の引き出しを開く。  引き出し一杯に大量の買いだめがしてあったが、そこから一つカートンを取り出して開封し、一本咥える。 「次からカートンは一箱テーブルに置いとけ、全部しまうな!!」 「申し訳ありません!」 「チッ……もういいからとっとと作ってこいや」 「あ、ライターをっ」
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