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「ああくそッ」
点けていながら全然意識していなかったテレビに視線を移す。
映っているのは緊急ニュース速報だった。どうやら中威区に突然氷の魔法を操る怪物が出現したと喚いている。
俺はあまりのどうでもよさに、思わず鼻で嗤ってしまった。
この武市都市部に怪物や化物の類が出るのは頻度こそ極僅かだが、珍しい事じゃない。
魔生物とかいう、人間とも野生動物ともいえないなんかの突然変異で生まれたよく分からん生物が、稀に人里を襲うことがある。
大概は任務で生計を立て、戦いを生業にする任務請負人に討伐されるから、全く出る幕なんざ無いんだが。
眉を怒りに歪め、チャンネルを変える。
喋る能の無い魔生物如きでわざわざ緊急ニュース速報とはご苦労なことだ。
そんなゲテモノを速報するんなら、一週間前まで行ってた学校を襲った謎の覆面集団のことでも報道して欲しいもんだ。
でもアレは分家派の連中に完璧な証拠隠滅処理がなされて、そこらのマスコミが嗅ぎつけるなんざ元より不可能だったっけ。
それで足がついて此処にマスコミなんぞが押し寄せてきたら、それはそれで糞面倒だ。対処なんて誰がするかよ。
テレビを音声操作するが、テレビに映る映像は前のチャンネルと全く同じであった。
顔が大きく歪ませる。また変える。同じ。変える。同じ。変える変える変える。同じ同じ同じ―――。
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