プロローグ:騒がしい異形共の早朝

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 何故生物は排泄するのか。  体内から老廃物、不要物を排出する為だが、それを真剣に考えた奴は世界でそう多くないだろう。  健全な食生活を送っている奴ならば、朝起きて朝食を食う事で催すが、自分はその何でもないただの生活習慣に、誇りを持っている。  何故なら排泄物で今日の身体の調子、幸先、モチベーション。自分の中のあらゆる全てが分かるからだ。  低気圧漂う悪天候なら腹もしくしく咽び泣き、体内から捻り出されるモノはお世辞にも美しいとは言えず、歯切れも悪くなる。  だが適性な湿度と気温が覆う雲一つと無い晴天なら、健康的なそれを気持ち良く出せるってもんである。  これはただの例え話だが、共感できる奴もできない奴もいるかもしれない。  何言ってんだコイツ唐突にきたねえ話してんじゃねえよと罵るしか芸の無い無知もいるだろう。  しかし``排泄``という行為こそ、万物共通の快楽を駆り立てる立派な生物的行為であると述べてやる。  子作りだけが快楽か。  セクシャリティだけが快楽か。  否。生物は皆、身近な行為から快楽を得る事ができる。  誰もが自覚してないだけ。生きとし生ける奴全ては、何らかの生物的行為でドーパミンを炸裂させているのだ。  故に``排泄``を恥じてはならない。親が子を作るのと同じように、親が子を生むのと同じように、生物が行う当然の行為を恥じる必要はない。  生物は皆兄弟、どんな奴だろうが、いずれ捻り出さずにはいられなくなるモノ。  我慢するのは身体に毒。恥だと思い、ひた隠すのは精神に悪い。  たとえ女っ気が皆無な童貞だろうが、あらゆる欲望を断ち切った修行僧だろうが、人知を超えたなんかすごい奴だろうが、抗わずにはいられない概念。  森羅万象共通にして生物普遍。あらゆる性行為を超越した、生理現象の極致なんだ―――。
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