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「水難の相、当たったぜ」
「シャルの奴漏らしやがったか」
「誰のせいだよ誰の!!」
「お前に堪え性が無いだけだろ」
「お前がずっとウンコの下りでグダグダやってるからだよ!! あーぁ、余所行きの下着がぐっちょぐちょ」
「別に良いじゃん下着あろうがなかろうがお前の場合大差無いし」
「そうだな。シャルだしな」
「そう言うならカエル、お前ボクの小便舐めて掃除しろ」
「は? 何でオレが」
「シャルだしな、って言われてなんかムカついたから」
「知るかよ!!」
「オメェらトイレの前で騒ぐな」
「「お前に言われたくねぇ!!」」
排泄物が下水に飲み込まれる盛大な音が、個室を反芻する。
長きに渡る禅問答を終え、漸くトイレの扉は開かれる。
中年男性姿の妖精―――シャルと同じくらいの背丈であろう小熊のぬいぐるみが、小さい布で手を拭きつつ、優雅にその姿を現した。
背中には天使を彷彿とさせる真っ白の翼。
どこからどう見ても、ぬいぐるみにしか見えないファンシーさ。
トイレの個室内で万物共通な汚物の名を口にしていた存在とは思えない姿だが、そのぬいぐるみ的生物―――ナージは、自身から醸し出されるファンシーさを打ち消すが如く悪辣に唇を吊り上げ、無数の白い牙を光らせる。
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