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トイレの側においてあった袋のようなものを手に取ると、左肩に担いでただ一人玄関の前へと向かう。
その姿からは、ただの小熊のぬいぐるみとは思えない孤高の貫禄。
畳んでいた無地の翼を広げ、ナージは二匹の異形を背後に玄関を叩き開ける。
「行くぞオメェら!! バナナウンコな奴等が待ってるぜ!!」
「ちょ、待てやおまえそこオレの立ち位置!!」
「置いてくなよー、ボクまだパンツ履いてないのに~」
まるで自分が主人公と言わんばかりに先陣を切ったナージに、二足歩行の半人半蛙―――カエル総隊長が彼の肩を掴んだ。
未だ部屋の中で服を散らかしまくるシャルをよそに、彼等は部屋を飛び出す。
「で。今更だが、なんで俺らは呼び出されたんだっけ?」
「忘れてんじゃねえよ昨日話されたじゃん!!」
勢い良く先陣を切り、天下の往来を突っ切ろうとした手前、ナージは自分が作った空気を自ら破砕し、二人ないし二匹は盛大にすっ転ぶ。
黄緑色の蛙人、カエル総隊長はわなわなと身体を震わせながら立ち上がる。
「エンちゃんが怪しい男に誑かされて拉致られた。アザラシの野郎が下手打つ前に連れ戻しに行くんだよ」
「まぁたアザラシ絡みかよ……騒ぎを起こさねぇと気が済まねぇのかあのコミュ障ゴミガイジは」
「仕方ないよアザラシだもん」
「テメェの女くらいきちんと首輪付けとけっての……何年一つ屋根の下で暮らしてんだよ」
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