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ナージの表情が般若を描いた。
身体から茶色いオーラが滲み出る。ウンコくせえオーラ出してんじゃねえよと叱咤するシャルに、カエルが話題を切り替える。
「でもな。今回はそれだけじゃねえ」
「あ? コミュ障陰キャクソ童貞の喧嘩凸止める以外にまだ何かあんのか」
「おまえ、なんでオレらが二頭身か分かるか」
「知るか。親分から昨日渡されたんだよオメェは違うってのか」
「いいや。オレもシャルも渡されたぜ。ただ今回の作戦指揮は親分じゃねえんだよ」
ナージとシャルはお互い眉を潜め合った。
片目を黒い眼帯で包む二足歩行の蛙はびちゃ、と生温い音を立てながら腕を組むと、ナージはおもむろにカエルの顔を覗き込む。
「誰だってんだよ」
ナージが彼の懐をまじまじと見つめる中で、カエルは眼帯の位置をわざとらしく調整し、唇を吊り上げるやいなや、片手で頬を抑えた。
ナージの顔が怒りに歪む。
その仕草は自分の心の闇、所謂封印的なものが破られようとしている者の姿。
彼らからみて、その振る舞いは至極滑稽でしかない。
だがカエルの悪辣に歪んだ唇は、ふざけていて、しかし禍々しさの根源を担うその名を、横柄に奏でたのだった。
「``あくのだいまおう``、だぜ」
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